Fragments of Works

仕事で便利!と思ったことや、もろもろの忘備録。さて。さてさてさて。

対面授業が始まった

青山学院ワークショップデザイナー育成プログラム 16期 Advent Calendar 2014の第7日目です。第6日目の土曜日はうっかり気を抜いて、お留守な日になってしまいました。失礼しました。

さて、前回まで対面授業が始まるeラーニングの話でしたね。今回は、対面授業で印象に残ったことをいくつか書いておこうかなと思います。

当時のノートが残っていて、それを見ながらつらつらといろいろなことを思い出しつつ。

刈宿先生の授業

対面授業の1日目は、ワークショップデザイナー育成プログラムの運営をなさっている刈宿教授の授業でした。大学教授といっても、ぜんぜん「教授」しない教授も多い中(笑)、刈宿先生は久しぶりに「師匠臭」のするかたでした。人を育てる人の匂いって、なにかあるんですよね。なんだろう。言葉にするとおかしな感じなのですが、「不必要なところでジャッジしない」「必要とあらば容赦なく叱る」そんな感じ。実際、叱られたことがあったわけではないのですが……。

刈宿先生の授業ではまずワークショップの定義を確認しました。第1日目にワークショップデザイナーってなんだろう?ということを書きましたが、こちらは「ワークショプ」の定義です。それは……。

ワークショップとは、コミュニティ形成(仲間づくり)のための他者理解と合意形成のエクササイズ(練習)。

これが前提条件を使い、これがないものは「ワークショップ」としない。ということになってました。たぶん、これ以外の定義ももちろんたくさんあると思うのですが、定義は「正しい、正しくない」ではなく、「ここを出発点にするよ」という単に決め事の問題だと思っています。なので、育成プログラムでいうところの「ワークショップ」というのは、こういうものなんだな……と思いました。

なにしろ「他者理解」と「合意形成」ですからね。もう一筋縄ではいかない匂いがプンプンしました。人間ってほっておくと他者は「排除」しがちです。異質なものを排除すると、コミュニケーションのコスト(とか言っちゃいますけど)がぐっと下がるので、まー、楽と言えば楽です。仲間うちで、これってこうだよね、そうだそうだ!って言っているほうが、人間、なんぼか楽です。

でも、実際の社会はもうそうなってないよ……という話を刈宿先生はなさってました。東京で生活していると、駅やデパートのアナウンスはだいたい日本語、中国語、ハングルだし、ムスメの保育園のお友達にも、ご両親のどちらかが日本以外で生まれたかた(実際国籍を聞いたわけじゃないので、こういう書き方に、笑)も数人いて当たり前。シングルマザー、シングルファーザーもおそらくいらっしゃる。自分が「普通」じゃないわけです。政治的にどうのっていうより、事実としてです。

そしてそのエクササイズのために、「恊働性」「即興性」「身体性」を活かしていきます。言葉だけでいうとなんのこっちゃですが……。

そうワークショップの話の難しいところは、言葉だけで伝えようとするとたいてい「なんのこっちゃ」になることが多いことなんです。だって、言葉で言えちゃったら、ワークショップいらないってことだし、とにかくやってみればわかる!じゃあ、なんだかタチの悪い宗教のようです。

刈宿先生はそれを理解するために簡単なワークをやってくれました。

わりばしのワーク

そこでひとつ刈宿先生がワークをやってくれました。鞄の中から突然わりばしが登場します。そして、教壇に2人呼ばれます。そしてふたりで並んで椅子に腰掛ける。そしてお互い右手の人差し指を出して、同じくらいの高さにするように言われます。

で、そのふたりの人差し指を架橋するようにわりばしを置くのです。

そして『「せーの」で立ってね!』って言われます。すると何が起きるか……。これ実際に試してもらうといいと思います。

連想ゲームのワーク

ワークショップには即興性があるといいます。たとえば、連想ゲームのような。その場で考えて、何が出てくるかわかりませんよね。前の人の言葉に対して、連想した言葉を付け加えていく連想ゲームをするとわかります。

新聞紙のワーク

もうひとつワークショップは身体性を重視します。たとえば人には「パーソナルスペース」というのがあります。んー、簡単にいっちゃうと「なわばり」ですね。これ以上自分に近づかれると、「近づかないで!やめて!」と相手を押し返したくなる距離。だいたい握手するくらいの距離がパーソナルスペースだそうです。

人間はみんなそういう身体性を持っている。たとえばこの「パーソナルスペース」を突破するにはどうしたらいいか。ただ、「さあ、みなさん、仲良くなるためにぎゅーっと近づきましょう!」とか言ったって、誰もやりません。気持ち悪いし。嫌だし。

でも「新聞紙に何人乗れるかゲームします!」っていうと、話はちょっと変わってきます。なるべく多くの人が1枚の新聞紙の上に乗るには、ぎゅーっと近づかないといけない。そこで知らず知らずのうちに、パーソナルスペースを突破できる可能性がある(といっても、これも「嫌」っていう人、当然いると思います)。

恊働性、即興性、身体性

これらの恊働性、即興性、身体性をうまく取り入れながら、コミュニケーションの場をデザインしていきます。で、そこで大事になってくるのが、さっきの前提条件です。

ワークショップとは、コミュニティ形成(仲間づくり)のための他者理解と合意形成のエクササイズ(練習)。

これがないまま、人をコントロールするような場を作ることだって、実はできます。だから「自分はどういった目的のために」コミュニケーションの場をつくっているのか、常に意識していないと危ないことになるなあ、というのが私の感想でした。

その反面、こういうテクニックをたくさんストックしたい。デザインのためのパーツをたくさんストックしたい、という気持ちも生まれました。

対面授業のひとつのトピックを書くだけでも、3,000文字弱ですね。

さて、明日はGoingHiroさんが何か書いてくれる予定。書いてくれたら、そっとリンクを付けておきますー。