Fragments of Works

仕事で便利!と思ったことや、もろもろの忘備録。さて。さてさてさて。

子ども向けワークショップデザイン実習

青山学院ワークショップデザイナー育成プログラム 16期 Advent Calendar 2014の第14日目です。だんだん、ケンケンパな様相を呈してきました。

今日は子ども向けワークショップデザイン実習のことについて書きます。以前、ちらっと書いたのですが、大人向けワークショップ実習は、どちらかというと「ワークショップのデザイン」に重点を置き、子ども向けワークショップ実習は「ファシリテーションのデザイン」に重点を置きます。

「置きます」とかわかったふうなことを書いてますけど、ファシリテーションって説明してみろ、と言われても、いまだにもやもやした部分が残ります。

子ども向けのワークショップ

子ども向けのワークショップは「逆転時間」というiOS用のアプリケーションを使って、逆再生のムービーをグループで制作することをやりました。

ワークショップは協業の場、合意形成の練習の場ですから、子ども同士が逆再生のムービーを作るなかで、その相互作用ができるように、やわやわと場を作っていきます。

でも、ちょっと想像するとわかるのですが、子どもって学校の授業に慣れているので、まずはファシリテーターを「先生」だと思ってしまうんですね。無理はないけど。だから、逆再生のムービーを作るときも、私と子どもA、私と子どもBみたいな放射線状のやり取りになってしまって、なかなか子ども同士のやり取りにはならない。

私が実習をしたときは、とても自分の意見をきっちりいう子がふたりいて、それぞれ性別も学年も違ったため、うまい具合に相互作業が起きなかったんです。で、大人が焦っている気持ちってなんとなく伝わってしまうのですよね。そして残りの子もなんとなく興ざめしていき……という、今考えても冷や汗が出そうな場になってしまいました。

子どもの責任ではなく、私の責任です。これは。

実習は、それを別のグループの人がしっかり観察をしてくれます。子どもたちがどんな会話をしていたか、そのときの様子などをしっかり記録してくれます。記録は記録で、とても勉強になります。

いろいろ反省点はありますが……。記録の方といろいろ話をして思ったことは。

  • 体育館のような広い場所は、じっくりものを考えるというより、何かをガンガン試してみる場になりやすい(広いし、開放感あるし)。そこで、じっくりものを考えさせようとしてしまった。
  • 子どもと子ども同士をどう結びつけてよいかわからなかった。途方に暮れた。

特に後者に関しては、かなり時間が経つまで、光が見えなかったんです。あ、これは下手すると、その後まで悪く響くなと自分で思ったほど。

それがなんとなく解決することもあるかも知れないと思えたのは、全コースが終了した飲み会の場でした。大人向けのワークショップデザインの講師だった方が、「それはひとえに経験が浅いから。大丈夫。子ども同士をなんとかしようと思わずに、子どもが作ってくる作品を真剣に見て『おもしろい』『おもしろくない』ときちんと評価していくことが大事。そうすると、子どもも作品に対して真剣になってくる」という話をしてくれました。

制作に夢中になれないと、有効な相互作用は生まれにくい。子どもが目指すところを自分が見ておらず、別の場所を見ていたから、子どもも同じように別の場所を見てしまったんだなあと。

それでも不思議だったのが、そのワークショップが終わって体育館から引き上げるときに、ひとりの子がほんとうに確信を持って「うん、おもしろかった」と何かを反芻するようにいっていたことです。私のファシリテーションよりも、子どもの学ぶ力のほうがよほど強いのかも知れません(でもこれはきっと、怪我の功名的な話)。

ファシリテーションに関しては、もっともっと分析をしないといけないなと思っています。できればビデオにとってほしいくらい。もっと子どもの間で何が起こっていたのかを冷静に判断したいんですよね。

あ、でも子ども向けのワークショップは個人情報保護の観点もあり、はじめにきちんと了承をとって、写真撮影や記録を行っているので、そうそう気軽に映像を使ったり見たりするわけにはいかないのでした。

ファシリテーションに関しては、そんなわけでかなりもやっとしたまま、もやっとしたものを抱えています。